二一世紀を展望して、都市問題や都市交通問題を考える際にパラダイムの変化を論じた。

さらに、地球環境保全という観点から、都市交通にどのような試みが始まっているかを考えた。 これらを通じて、都市交通の将来に何らかのパースペクティブが得られれば幸いである。
シンボル道路の効用シンボル道路はいかにできたか道路には三種類ある。 走るための道路と、止まるための道路と、歩くための道路である。
高速道路は走るための道路の典型である。 住宅地の区画街路は普通最終目的地へと至る道路であるから、そこへは自動車を止めることを目的として入り込む。
一方、道路に沿っていかにも面白そうな店が並んでいたり、快適そうな並木があれば、歩いてみたくなる。 もちろん、歩くためには、そこへやって来なければならないから、もし自動車で来るとすれば、歩くための道路は、走って止まるための道路の役割も同時に果たすことになる。
しかし、いずれにせよ、歩くための道路という性格をもつことによって、道路は自動車という機械のための無機的な存在を超えて、再び人の往来する賑わいの場、あるいは人が自然や自分に問いかけながら歩む思索の場として、人と有機的つながりをもつことができる。 ところで、不幸なことに近代化は道路に関しては無機化の過程でもあった。
現在では、多くの道路は主として自動車の走行路となり、町は両側に隔てられ、騒音や排気ガスがひどくて、長時間いると生理的嫌悪を感じる場所となってしまった。 道路から潤いが消えてしまったのである。
しかし、自動車の時代となっても、人との様々な温もりのあるつながりをもつゆえに名の知られた道路もある。 シャンゼリゼ通りと聞けば、ルーブル博物館の前、ド・ゴール広場、そしてラ・デファンス(グラン・アルシュ)の三つの凱旋門がつくるパリの都市軸にあるシンボリックな道路であると同時に、道路上までカフェが店を出す楽しい散歩道が思い出される。
アメリカの都会は物騒で歩行には向かないようだが、それでもブロードウェイといえば、ミュージカル劇場の看板を眺めながら歩いた経験をもつ人も多いかもしれない。 そういえば「第二一の男」のラストシーンに使われた、ウイーン郊外の並木道も別れを表現するには絶好の舞台であった。
日本でも、銀座通りは「銀ブラ」の名を生んだくらいだから、多くの東京人に愛されてきたに違いない。

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